うんちく

【うんちく】ノーザンプトンが靴の聖地となった4つ要因

2017/4/12

 

ノーザンプトンが靴の聖地となった4つの要因

 
三大高級靴のひとつ、イギリス靴のなかでも聖地と言われる、ノーザンプトンシャー州都のノーザンプトン(Northampton)。
 

当店でも大人気のジョンロブ(本家)、エドワードグリーンクロケット&ジョーンズを始めとする上質な靴が、この地から世界中へ送りだされています。
 
産業革命時代に靴産業で大いなる発展をした当地ですが、今回のうんちくでは「なぜノーザンプトンが聖地となったのか」その理由をご紹介いたします。
 
 

 
 

【1】樫の木


 
 
そもそも樫の木がなぜ靴作りに有用なのか、という点をご紹介。
 
A.革をなめすためのタンニンを豊富に蓄えている
B.木型(ラスト)作成に最適な硬い材木が採れる
という2点が挙げられる。
 
英国郊外ののどかな丘陵地帯ノーザンプトンは多種多様な動植物が繁栄しているが、樫の木もそのひとつ。
 
栽培するまでもなく、そこかしこに生えているほどで、材料には事欠かないのである。
 
 
 

【2】水


 
河川の付近では文明が発展すると、歴史が語っている原料である革を採るための牛を育てること、また革をなめす作業にも大量の水が必要となる。
ノーザンプトン郊外には無数の川が流れており、その良質な水が靴作りには大いに役立ったと思われる。
 
 
 

【3】地の利


 
英国の地図において、ノーザンプトンは南北に走る幹線道路のちょうど中間地点、都市で言えばケンブリッジ、オックスフォード、ロンドン、マンチェスターの中心にあたる。
 
現在でも物流の一大拠点となっているが、過去には上記の都市への食肉の供給地として牛の畜産が盛んに行われていた。
 
その歴史的背景から、革の材料となる牛も豊富に仕入れられる地となっている。
 
 
 

【4】タンナー


 
上述の諸条件から、革をなめすタンナーが発展し、まずは「革の街」として繁栄していった。
その後、当然の流れから良質な革を使った靴メーカーがこの地に集結することとなる。
 
 
 

【番外編】人

オリバー・クロムウェル


 
清教徒(ピューリタン)革命で有名なクロムウェルが、実はノーザンプトンの靴作りの発展に一役買っている。
 
自身の軍隊の機動力を強化するために、靴の改革に乗り出したのだ。
 

それまでサイズという概念がなく、単なる足を覆うためのものであった靴をサイズ別に作成。
 
さらに、革を積み重ねたヒールの概念も考案
 
その結果、個々人の足にフィットした靴が作成され機動力の向上に成功し、革命軍の勝利に資することとなる。
 
これが現在我々の着用している靴の原型ともなった。
 
 

職人たち

 

 
物流が進化した今でもなおこの地が聖地でありつづけるのは、産業革命時代に培われた職人のDNAが今なお残っているからである。
 
我々の手元に届くその作品たちから、彼らの精神が伝わってくるだろう。
 
 

 
ということで、たびたび話題になるノーザンプトン、「聞いたことはあるけどなんで聖地なんだろう?」という疑問は解消されましたね!?
 
本格靴を愛するMaglayとしても、近々現地訪問レポートをお届けしたいと思いますので、お楽しみに!
 
 

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【うんちく】高級靴に使用される革について~その2 牛以外の革の種類~

2016/12/21

 

高級靴に使われる革についてのうんちく第一回では、皮と革についての違いと、牛側の種類について触れてまいりましたが、第二回では牛以外の革についてご説明いたします。
 

1.動物の種類ごとの革の特徴(牛以外)

 

 
馬革といえば、おなじみのコードヴァン。
Alden 9901(オールデン9901)に代表されるように、高級靴にはよく使用されている。
一部の馬の臀部から採取されるもので、空気も通さないほど緻密で丈夫、さらに美しい光沢を持っているのが特徴。
 
数ある靴用の革の中でも別格といってよいものである。
 
コードヴァン以外の馬革はまとめてホースレザーと呼ばれ、コードヴァンに比べると耐久性に劣りますがやわらかいため、ジャケットやソファー、靴の内側などに使われている。
 
詳しくはうさぎ店長日記【靴のお話】 Alden(オールデン)~Cordovan(コードヴァン)について~

 

国内で自給されており、質の高さが評価され海外にも輸出されている。
毛穴が空いているため、通気性に優れている。
 
また、比較的軽く、柔軟性にも優れているため、歩きやすいという特徴もある。
 

 


 
シープスキンと呼ばれる。
強度がないため通常革靴には使用されないが、最近ではムートンブーツなどに使用されている。
ちなみに、ムートンとはメリノ種の羊革の名称である。

 

鹿


 
軽く、なじみやすい柔らかさを持つため、古くから日本でも武具や馬具に使われてきた。
耐水性も高いため、雨にも強い。
 

 

ヤギ


 
表面の細かなシボが特徴。
革は薄いが丈夫で柔らかい。
特に子ヤギの革はキッドスキンとよばれ、さらに薄く繊細なため手袋などに使われる。
 

 

2.エキゾチックスキン

 
家畜以外の動物全般を指すエキゾチックアニマル(Exotic Animal)の革を総称してエキゾチックスキンと呼びます。

ワニ


 
使う場面を選ぶが、エキゾチックレザーの中でも圧倒的な人気を誇る革。
意外に水に弱く、ケアをしなければ劣化しやすいので注意が必要。
牛革に型押しされている商品が非常に多いので、購入時には注意。
 

ダチョウ


 
オーストリッチと呼ばれる。
毛を抜いた毛穴の部分が独特の突起になる。
柔らかな手触りと、絞っても平気なほどの柔軟性も魅力。

サメ

 
始めはザラザラしている触感だが、使うごとにツヤが出てくる。
捕獲量が限られ、染色やなめしも困難なため、希少な革である。
 

ヘビ


(画像は苦手な方に配慮いたしました)
 
独特のウロコの模様と、使い込むごとに経年変化していく点が魅力。
なめされたパイソン皮革は耐久性も十分で、ケアも比較的簡単。

エイ


 
泳ぐ宝石と称され、高級素材として人気が高い。
スティングレイ、ガルーシャと呼ばれる。
美しいだけでなく、耐水性、耐摩擦性にも優れるため長年にわたって付き合える素材。
 

トカゲ

 
インパクトのある銀面模様が珍重されている。
トカゲのなかでも革製品に使用できる品種は10種類程度。
 
使いこなすのは難しいですが、オシャレ上級者の必殺アイテムになるでしょう。
 
 
 
二回にわたって、靴によく使用される革について紹介してまいりました。
他にもカンガルー、象、イノシシなど色々な革が使われていますが、今回はこの辺でお開きにしましょう。
 
街で「ちょっと質感の違う靴」を見かけたら、何革なのかを気にしてみてはいかがでしょうか。
 

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【うんちく】高級靴に使用される革について~その1 牛革の種類~

2016/12/13

Leatherpunch
 
今回のうんちくでは、靴の素材となる革の特徴についてご紹介します。
 
靴を購入する際に、形やデザインなどはパッと見てわかりますが、革についてコメントできる方はかなりの靴通ではないでしょうか。
 
ということで、明日から使える失敗しない革素材の特徴と選び方のポイントをまとめてまいります。
 
 

0. 革と皮


 
まずは、革と皮という漢字の違いから。
 
皮=原皮 という言い方もしますが、要は動物の体から剥いだままの状態のものです。
 
原皮のままの状態ではすぐに変質したり腐ったりしますが、これになめし作業が加わることによって長持ちし、加工もしやすくなります。
 
皮は「スキン」または「ハイド」、革は「レザー」というように呼称が区別されます。
 
 

1.動物の種類ごとの革の特徴

 

A.牛革(カウレザー)

 
靴などの革小物を作成する際に最も一般的なものは牛革ではないでしょうか。
 
加工や部位によって名前のバリエーションが最も多いのも牛革ですね。
 
まずは、その牛革を年齢(厚み)から分類してみましょう。
 

 <若い(薄い)>
 
カーフ

生後6ヶ月までの仔牛(きめが細かく繊細なので牛皮の中でもっとも上質とされる)
キップ

生後6ヶ月~2年までの中牛(カーフに比べ厚い。カーフよりは劣るが上質な革 )
 
   ↑スキン
 
   ↓ハイド

 
カウ
生後およそ2年の牝牛(厚く丈夫なのが特長)

ステア

生後3~6ヶ月に去勢された牡牛が成牛(約20kg以上)になった時の革
ブル

生後3年以上で去勢されていない牡牛(牛革の中では最もキメが粗いが、厚くて丈夫なので主に底革に使われる)


 <成牛(厚い)>

 
 
薄さの順番に並べてみましたが、一般的にカーフスキンがもっともきめ細かく上品とされ、高級革製品に使われています。
 
逆にブルハイドはその上部さからアウトソールに遣われることが多いです。
 
全体的に質が均等で加工しやすいステアハイドが、量的には最も出回っているようですね。
 
 
ということで、今回はまずは皮と革の違いと、牛革の種類をまとめて終わります。
 
次回、牛以外の動物の革についてもまとめたうんちくを公開いたします。
 

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【うんちく】サイズとワイズ(ウィズ)の選び方について

2013/9/11

 

当店でもサイズとワイズについてお選びいただくようになっていますが、
今日のうんちくでは、それらについての選び方をアドバイスさせていただきます。

 

 

まず、サイズに関してですが、(こちらにも表記あります
サイズは同じメーカーでも使用するラストによって結構異なります。

 

 

たとえばAldenの主要ラストでいうと、

Leydon last(レイドンラスト):おおよそ一般的なUSサイズと同じ
Plaza last(プラザラスト):一般的なUSサイズよりも若干長い
Aberdeen last(アバディーンラスト):一般的なUSサイズよりも若干長い
Van last(ヴァンラスト):一般的なUSサイズよりも1/4~1/2大きい
Barrie last(バリーラスト):一般的なUSサイズよりも1/2ほど大きい
Trubalance last(トゥルーバランスラスト):一般的なUSサイズよりも1/2ほど大きい
Modified last(モディファイドラスト):一般的なUSサイズよりも少なくとも1/2は大きい

という感じで、同サイズでも、実質は1/2サイズ程度異なっています。

 

 

(※クリックしても拡大しません)

 

 

なぜこういうことが起きるかというと、日本人の感覚だと分かりにくいのですが、
海外の多くのブランドにとって、サイズというものは、
「ラスト」が基準であり、言わば靴を造る側から捉えたサイズ設定であるからです。

 

 

日本はcm表記であり、人間の足が基準になっているためのため、
他の物体と比べても絶対的な基準がありますが、
例えばアメリカサイズで足長が7ハーフとある靴の場合、
それはあくまで「ラストの大きさ」を示すのみで、
極端な話7よりも長く、8よりも短いということを表しているに過ぎないのです。

 

 

同じことが各木型の中でも言えて、レイドンラストの7ハーフは
レイドンラスト内での比較を表しているにすぎず、
プラザラストの7ハーフとは別物なのです。

 

 

様々な民族が移動し、様々な価値観が入り混じった欧州では、
靴を造る側がサイズ設定を行い、顧客がそれを受け入れてきました。
単一民族で、統一の基準を持つ日本と異なるのはそのあたりに理由があるかと思います。

 

 

さて、話を戻しまして、
上記のようにラストも考慮しサイズがわかれば次はワイズ(ウィズ)です。

 

 

ワイズは基本的にはサイズに比例し、同じAでも実際の数字が異なります。

 

 

図示すると、以下の表のようになります。

 

(※こちらはクリックで拡大します)

 

自分の足を以下の要領で測り、該当するワイズを導きます。

 

 

1、両足に平均に体重をかけて立つ
2、親指の付け根と小指の付け根を通ってグルッと一周メジャーで測る。
※左右で足囲の違う可能性もあります。

 

 

また、上記はアメリカにあるメーカーの例で、
イギリスでは、若干ウィズがずれ、以下のようになります。

 

 

(※こちらはクリックで拡大します)

 

 

さらに、Church’sやCheaneyの場合はもう一つずれて、Fが標準となります。

 

 

なんともややこしいですが、これも靴を選ぶ醍醐味と考えて、
ご自身のフィッティングを見直してみてください。

 

 

一歩上の靴選びができますよ!

 

 

また、どうしても迷われた場合、
当店では、サイズ相談のアドバイスも行わせていただいておりますので、
是非お気軽にお問い合わせください!

 

 

なお、買ってしまった後で、「しまった!」となった場合は
サイズ調整を行うという方法もあります。

 

 

大きい場合は中敷にて調整するのが一般的ですが、
余裕があればリペア屋に持っていくと、サイズ・ワイズの調整をしてくれるお店もあります。

 

 

たとえば、絞りを入れるべウェルトヴェストというデザイン加工を行うと、
絞りを入れた効果で大きいと思っていた靴がフィットするようになったりします。

 

 

逆に狭い、小さい場合はストレッチャーにて革を伸ばすことで
多少改善できるのですが、中敷に比べ、ストレッチャーは少しお値段が張ります。。

 

 

今回のうんちくはここまでです。

 

 

次回をお楽しみに!

 

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【うんちく】靴の意匠について~その2:形状について~

2013/6/28

久しぶりの更新になりました。

 

今回はのうんちくは、トゥ(靴の先のこと(前回のうんちく参照))の形についてです。

 

本当は、前回の穴模様より先にこちらを紹介すべきだったかもしれません。

 

 

トゥは、靴及び持ち主の個性(キャラクター)を主張する大切な部分です。
また、その形で持ち主の趣味嗜好がなんとなくわかってしまうものでもあります。

 

 

今日は、そのトゥの形状について記述します。
代表的なトゥの形状は以下の6つがあります。

 
1.スクエアトゥ

 

先端を水平にカットしたようなデザインが特徴。
靴の先を伸ばしたロングノーズといわれるデザインと
よく組み合わされ、イタリアのブランドでよく使用されている。
ここ数年増加傾向にあると思われる形状。
フォーマル、カジュアルは問わないが、ややカジュアルか。

 

 

 

2.ラウンドトゥ

 

もっともクラシックな形状。丸みを帯びた形状が特徴。
古今東西、フォーマル、カジュアルを選ばない万能な形。
イギリス、アメリカのブランドに多いが、
どの国のブランドでも使用されており、履く人も多種多様であるといえる。

 

 

 

3.セミスクエアトゥ

 

1と2のいい部分を合わせた形状。
今現在の日本では、一番多く見かけることができる形状と思われる。
どの国のどのブランドでも使用があり、フォーマル、カジュアルなどシーンを選ばない。
スーツとの相性がいいため、ビジネスシーンで多く見かける印象。

 

 

4.オーバルトゥ

 

2よりも丸みが緩やかで、全体的にぽってりとした印象を与える。
アメリカのブランドで多く使用され、イギリス以外の
ヨーロッパブランドでは近年使用される割合が下がっている印象。
おおらかな男性らしさなどを表せるため、年代が上がるにつれて
支持される傾向にある。フォーマル、カジュアルなどシーンを選ばない。

 

 

 

5.ポインテッドトゥ

 

2の中でもとりわけ先端が尖ったもの。元々ウェスタンブーツや
チャッカブーツへの使用が多かったが、近年は短靴にも使用されている。
日本においては若い年代での支持があり、年齢層が高くなるにつれ、
使用率が下がっている印象。日本ではカジュアルな使用が主。

 

 

 

 

6.オブリークトゥ

 

1のように先端を水平にカットしているが、トゥの部分が
靴の中央などと比べ一番大きくなっている形状を言う。
親指部分が一番長く、小指に向けて角度がついているものも含まれ、
男女問わずのサンダル、女性もののパンプス等に多く使用され、
フォーマルな男性ものに見かけることはあまりない。
日本人の足の指は、親指が一番長い割合が高いと言われているため、
日本人にあった形状ともいえる。

 

 

 

お好きな形はありましたでしょうか。

 

形状は靴を見た際に一番最初に目が行くところであり、

その人の人となりを雄弁に語る部分でもあります。

 

自分の持ってる靴について、上記を参考に見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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【うんちく】靴の意匠について~その1:穴飾りについて~

2013/1/10

 
 
今回はのうんちくは、靴についている穴飾りの模様についてです。
 
 
「トゥ」と呼ばれるつま先付近の部分(下の絵の赤丸部分)は、靴によって穴飾りの模様が入っていたりして、
その靴、ひいては持ち主の個性を表す部分になります。
 
 

 

 
 
TPOに応じた飾り使いが出来るようになると、一歩上の靴使いが出来るのではないでしょうか。
 
 
また、靴屋で以下の種類の特性を知った上で、靴を注文すると、
ちょっと「おっ!」って思われること間違いなしです!(笑)

 
 
今回は、その種類について基本的なものを説明します。
 
 
まず、前提として穴飾りを配置する箇所としては以下の2か所があります。
 
 
トゥキャップ(上の絵の青丸部分)に配されているものは「メダリオン」と呼ばれ、
革の切り替え部分(上の絵の黄丸部分)に配されているものは「パーフォーレーション」と呼ばれます。
 
 
それぞれの部分に模様が入るか否かで、印象は大きく異なります。
 
また、靴は穴飾りの入り具合によって、以下の3種類に大別されて呼ばれることが多いです。
 
 
 

1、キャップトゥ
 

 
 
一番フォーマルです。
 
穴飾りが一切なく、切り替えにステッチのみが配置されています。
 
 
靴は必然的にストレートチップになります。
 
特に内羽根式のブラックはフォーマルな場に最適なので、男子たるもの1足は保持したいものです。
 
 
 

2、パンチトキャップトゥ

 

 

 

上の説明に使用した画像と同じものです。
 
切り替え部分にのみパーフォーレーションが施されています。
 
 
靴はストレートチップが多いです。
 
トゥキャップにもメダリオンが配されたものはセミブローグとも呼ばれます。
 
 
 
3、フルブローグ

 

 

かなりカジュアルです。
  
ふんだんに穴飾りが利用され、ウィングチップの靴が多いです。
 
スエードなどの起毛系の素材が用いられることも多く、作り手の個性が出やすい意匠です。
 
 

 

いかがでしたでしょうか。
次回は、トゥの形状等も説明したいと思います。
 
 

 

お楽しみに!
 

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【うんちく】内羽根式と外羽根式について

2012/10/21

 

今回は、店長うさぎの餡が、こちらの投稿でお話ししていた内羽根式と、外羽根式とについてです。

 

 

さて、以下の2つの商品、違いが分かりますでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紐の通し目に注目してください。

 

向かって左側の靴は、「外羽根式」と呼ばれるもので、甲より前の部分に、鳩目の部分が乗っかっているのが分かります。

 

対して、右側の靴は「内羽根式」と呼ばれるものです。

甲より前の部分に、鳩目の部分が潜り込んでいる状態の紐靴を、こう称します。

 

 

両者は、その見た目もさることながら、作られた背景(歴史)や目的が異なっています。

 

ここからは、それを説明しましょう。

 

 

 

 

 

まず、左側の靴、外羽根式についてです。

 

外羽根式は1810年、プロシャ軍のブリュッヘルが軍靴用に考えたといわれています。

履き口が外に開き、ヒモで締めるタイプです。「ブラッチャー」とも呼ばれ、特に英国ではダービー型と呼ばれています。

また、プロシアの陸軍元帥だったゲルハルト・レーバレヒト・フォン・ブラヘルが、

このスタイルで戦闘用ロングブーツを仕立てさせ、1815年にかの「ワーテルローの戦い」で、

フランスのナポレオンに立ち向かったというお話もあります。

 

羽根の部分が大きく開くため、着脱やフィット感の調節が容易という点が利点です。

元々はブーツに用いられていましたが、1860年ごろから短靴にも用いられるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

対して、右側、内羽根式はどうでしょうか。

 

内羽根式は、19世紀の中頃、英国のヴィクトリア女王の夫君、アルバート公がスコットランドの

バルモラル城でデザインしたことが名前の由来といわれており、ヒモで締めるドレッシーなタイプになっています。

アルバート公が好んで過したスコットランドの王室御用邸にちなんで、「バルモラル」あるいは

生まれた土地の名前「オックスフォード」ともいわれます。

 

羽根の部分が全開しないので、外羽根式に比べるとフィット感の調節や着脱のし易さには難がありますが、

見た目の清楚さから、フォーマルユースや室内執務用の靴として普及してゆきました。

 

 

 

 

 

日本では、あまり気にされていませんが、外回りの多い営業職の人は外羽根を、

内勤が多いマネジャーなどの管理職の人は威厳のある内羽根をのようにシーンで使い分けるのがベターです。

 

 

また、当店にて一度おしゃれだなあと思ったのは、スポーツ選手の方からご注文を頂いたときのことでした。

 

 

本来内羽根の靴の、外羽根式Verがどうしても欲しいと言われたので、

わけを伺ったところ、自分の活動性をアピールするために外羽根式を注文したいということでした。

 

 

スポーツ選手という自分を、靴を履くシーンに例えたわけです。

 

 

 

こういったこだわりを持って、靴を履かれる人は素敵だなあと思います。

 

 

靴を選ばれる際には、是非、自分の活動シーンを想像し、それにあった様式を選んでみてください。

 

 

 

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【うんちく】靴の製法について~その2~

2012/9/11

 

 

さて、期間が少しあいてしまいましたが、靴の製法についての続きです。

 

革靴は、どの製法で作られたかで、その用途が大きく異なってきますというのは前回書きました。

 

 

今回は、紹介しきれなかった製法を記載します。

 

 

4、ブラックラピド製法

 

 

 

–以下、他のサイトより–
マッケイ縫いを施したソールに、さらにもう一枚ソールを縫いあわせた、比較的新しい製法。グッドイヤーウェルト製法の耐久性の良さと、マッケイ製法の返りの良さをかけあわせたような製法である。また、単なるマッケイ製法では、雨の日などは縫い目から水がしみてきてしまうということがあるが、この製法の場合、構造上問題ないという事が出来る。イタリア等の、ヨーロッパ製の高級紳士靴によく使われている製法である。

 

先のページでも紹介した、有名な製法のいいとこどりをした 製法です。

 

上の図を見て頂けると分かりやすいと思いますが、マッケイ縫いと、出し縫いがある事によって、

丈夫かつエレガントに作る事が出来ています。

 

ただ、こちらの製法は、日本ではまだまだ作る職人さんが少ないためか、用いられている靴が少ないという点が難点で、

修理に出した際などは業者をしっかりチェックしないと、修理する事が出来ないかもしれません。

 

また、その為、値段も高いです。

 

 

5、セメンテッド製法(ラバー製法)

 

 

 

–以下、他サイトより–

アッパーと底材を接着で貼り合わせる製法で、略して「セメント製法」とも言う。日本には戦後間もなく入ってきた技術で、縫い糸を使わず靴が造れることで、当時量産の難しかった靴に画期的な技術革命をもたらした。国内では、1952年頃から本格的な量産に入り、現在では接着剤の進歩とともに、かなり多くの靴がこの製法で造られている。材料を選ばない製法のため、多種多様なデザインや素材を使った靴を造ることが可能になった。中物には一般的に、クッション性のよいスポンジ素材(フェルトなど)が使われる。

—-

 

 

今日、我々が靴を安価に買う事が出来るのは、この製法によるところがかなり大きいです。

当サイトで扱う靴には、使用されているものはありませんが、

街の靴屋さん(A○Cマートとか)などに行った際に、店先に展示されているものの7割は

この製法を用いていると思ってもらうと、その凄さが分かると思います。

 

比較的安価な製法ですが、履き心地という点、修理のしやすさという点では、

他の追随を許さない庶民の味方と言った製法だと言えます。

 

 

 

6、その他の製法

 

ここに挙げきれませんが、他にもまだまだ優れた製法、用途に応じた製法があります。

一部をご紹介して、全2回の製法に関するうんちくを終了にしたいと思います。

 

・サイドステッチ製法

甲革とソールを直接縫い付けるが、カップソールと呼ばれる縁がせり上がったソールを甲革にはめ込み、外周を縫合する。縫い目が地面に直接触れないので、地表に水分が有っても靴の内側まで水がしみこむことは無いが、縫い目まで濡れる場合は足がぬれてしまう。テニスシューズなど、スポーツシューズ(特定の用途に特化した靴。スパイクシューズなども含む。)にこの製法が多い。かかとが無い平底になるため、シャンクは入れない。

 

・インジェクション・モールド式製法

一般には「インジェクション製法」と呼ばれている射出成型による製靴方法のこと。「射出成型法」とも言う。金属製の型(金型)に、熱で溶かした塩化ビニルやポリウレタンを、圧力をかけることによって勢いよく注入し、靴全体や本底を一発で成型する方法。ほとんどの長靴は、この製法でつくられている。またこの方法で本底の成型と底付けを同時に行うのが、ダイレクト・ポリウレタン・ソーリング。アッパーをセットした本底の金型に、溶かしたポリウレタン液を注入し、中で発泡させ、冷えて固まることによって、本底を成型しながらアッパーと結合させる。効率よく量産できる製法として評価されている

 

・カリフォルニア・プラット式製法

欧米では「スリップラステッド」日本では「プラット式」とも呼ばれる。甲革、中底、裾テープの三つを縫い合わせ、あらかじめ袋状し、そこに靴型をさし込み、底付けは裾テープをそのまま巻き込むか、底面に熱い中物を入れて巻きつけて本底をつける。これによって底部にプラットフォーム(=台)があるように見えるので、「プラット」という名称がついた。また、縫い合わせるため中底は薄く、柔らかい材料を使うので屈曲性に富む。履きやすく、カジュアル感があることから、紳士から婦人、子供靴まで広く採用されている。

 

・オパンカ製法

ソール側を引っ張り上げ、あえて見える所で縫い合わせる意匠的な製法。本底とミッドソールを接着し、ダシ縫いする。ミッドソールを水でぬらし木型に貼り付けクセ付けをする。アッパーを中底につり込み、あらかじめクセ付けしておいたミッドソールを接着剤で貼り付ける。その後ミッドソールと表革をスクイ縫いする。

 

 

 

 

 

世界には、まだまだ他にもいろんな製法があります。

自分の靴が、どのような意図で、どのような製法を用いて作られたかを知ると結構楽しいものですよ。

 

是非、靴の中の世界にも、目を凝らしてみてください。

 

これで、製法の話を終わります。

 

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【うんちく】靴の製法について~その1~

2012/8/21

 

 

今回は、靴の製法についてです。

 

革靴は、どの製法で作られたかで、その用途が大きく異なってきます。

そのため、一生ものの靴を選ぶ際には、その製法を知らずして、選ぶ事は出来ません。

 

Wikipedhiaからの転載も利用しながら、そこにコメントを加える形で製法についてのうんちくを記載します。

 

全2回で、有名な製法を記載するつもりです。

 

 

1、グッドイヤー・ウェルト製法

 

グッドイヤー

 

–以下、wikiより–

ハンドソーン・ウェルテッドと呼ばれる手縫いの製法を元に、米国のチャールズ・グッドイヤー2世がそれを機械化し確立した方法。名称は発明者から。 中底に貼り付けられたテープのリブと呼ばれる部分に甲革、裏革と細革と呼ばれる細い帯状の革(ウェルト)を縫い付け(掬い縫い)、その細革とソールと縫合する(出し縫い)。ソールと甲革が直接縫い付けられていないため(複式縫い)、ソールが磨り減った場合はオールソールと呼ばれる、靴底全体を新たなものに付け替える修理が可能である。ただし、構造的に堅牢であるため比較的重く、硬い仕上がりになる。工程も複雑なために他の製法による靴に比べ、販売価格が高めに設定されることがある。主にビジネスシューズやワークブーツになど用いられる。歩行性・緩衝性に優れ、また長時間着用を続けるため通気性も優れたものが多い。

 

  • ・長所
    • 縫い目のある製法としては、水が浸入しにくい。
    • 内蔵されたコルクが緩衝材となるため、長時間の歩行に適している。
    • 長期間使用していると、上記のコルクが沈み込み、使用者の足の形に変形するため、独特のフィット感がある。
    • 構造上、比較的に堅牢な造りのものが多い。
    • 靴底と甲革が厚手の物が多いため、型崩れしにくい。
  • ・短所
    • 製造コストが高い。
    • 比較的に重い物が多い。

—-

 

 

使用されている靴としては、有名なところで、

チャーチ,トリッカーズ,エドワードグリーン,ジェイエムウエストン,ア テストーニ,オーベルシー,サントーニ,オールデン,サンクリスピン,アルフレッド サージェントカルミナ,ヤンコ,エンツォ ボナフェ,アルトロ,ジョージコックス,リーガル,三陽山長,レッドウィング,グレンソン…

書ききれないくらいですね。

 

 

個人的には、この製法はコストパフォーマンスに優れると思っています。

短所に製造コストが…ト書いていて矛盾するのですが、この製法は、結果、長持ちします。

 

 

靴の傷みやすい、アウトソールなどだけ、交換するのに適していたり、そもそも構造的に壊れにくかったり・・・

と、一生ものの靴には最適な作り方をしているのです。

そのため、高いけど長持ちする=コスパが良い。と、なるのです。

 

 

 

2、マッケイ製法

 

 

マッケイ

 

–以下、wikiより–

甲革とソールをマッケイミシンで直接縫い付ける。グッドイヤー・ウェルト製法に比べ構造が単純で、やわらかく仕上がる。また、グッドイヤー・ウェルト製法に対して軽量化が可能で、廉価化が可能である。主にビジネスシューズなどに用いられる。

 

  • ・長所
    • グッドイヤーウェルテッド製法より製造コストが安い。
    • 比較的に軽く作れる。
    • 構造上、薄く柔らかい革を使用できるため、全体的に柔らかく仕上げることが出来る。
    • 靴底を薄く作れるため、返りが良い物が多い。
    • 通気性はよい。
  • ・短所
    • 中物がない分、クッション性に乏しい。
    • 靴底に縫い目があるので、水が浸入しやすい。ただし、縫い目を接着剤で塞いで、それを防いだものもある。
    • 全体的に薄い造りのものが多いため、堅牢性に乏しく、型崩れしやすいものもある。
    • 長時間の歩行は疲れやすいといわれている。

—-

 

メジャーな製法なので、使用されている靴はほぼグッドイヤーと同じです。

 

この製法は、上記以外にも、上品という特徴があります。

個人的には好きな製法です。

 

グッドイヤー・ウェルト製法よりコバの部分がスマートな印象になり、

かつ、軽量でソールの反りが良いために、イタリアの靴などのドレスシューズに多く用いられます。

頻度は多くないけど、「ここぞの時に履く靴」には最適な製法ですね。

 

 

 

 

3、ステッチダウン製法

 

 

ステッチダウン

 

–以下、wikiより–

甲革とソールを直接縫い付けるが、カップソールと呼ばれる縁がせり上がったソールを甲革にはめ込み、外周を縫合する。縫い目が地面に直接触れないので、地表に水分が有っても靴の内側まで水がしみこむことは無いが、縫い目まで濡れる場合は足がぬれてしまう。テニスシューズなど、スポーツシューズ(特定の用途に特化した靴。スパイクシューズなども含む。)にこの製法が多い。かかとが無い平底になるため、シャンクは入れない。

 

正直、この製法はあまりドレス靴には用いられません。

(ゴルフシューズなんかは、革靴でも使用しますが・・・。)

では、なぜ、ここに書いたか。

 

 

それは、ブーツに非常に採用頻度の高い製法だからです。

 

上記の図のように、甲革を外に向けてつり込み、表底を貼り付け、中底と一緒に縫い込むという簡単な製法のため、

ステッチダウンで作られた靴には返りが無いことが多く、履き心地の点から言うとマッケイやグッドイヤーに劣るでしょう。

ただ、シンプルな構造、質実剛健といった感じのクラシカルな印象は、他の靴には無い魅力となっていて、

武骨さをウリとするブーツには持ってこいの製法なのです。

 

 

 

 

このような感じで、靴にもその用途に合った作り方があります。

 

作り手の工夫などを知ってこそ、一生の付き合いが出来るというものです。

 

マニアックな情報ですが、是非、この機会に靴の裏側(中身)のお話も知って下さいね。

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【うんちく】靴のサイズについて

2012/8/7

 

他のいろいろな通販サイトにも掲載されているので、

そこからの転用になるのですが、

ちょっと問い合わせが多かったので掲載することにしました。

 

靴屋として、書いとくべきでしたね。

 

海外では靴のサイズの表記が日本と違います。

 

それは、各国の文化に基づくからなのですが、表で表すと以下になります。

 

日本サイズ 23.5 24.0 24.5 25.0 25.5 26.0 26.5 27.0 27.5 28.0 28.5
イギリスサイズ 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5 10
フレンチサイズ 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47
アメリカサイズ 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5 10 10.5

 

一見、イギリスとアメリカでは、同じインチ規格のように見えます。

でも、実は、元の基準が違うため、上記の表のように差が生まれています。

 

イギリスは実インチ4インチを基準(そこを靴サイズ0インチ)として、
そこから、1/3実インチずつ数字を打ってます。
アメリカサイズの靴インチは、その1/3インチ小さめの値です。(つまり、1/12実インチです。)
もとの0インチの出発点が、イギリスとアメリカで違います。
(ちなみに、この元の基準を守っているメーカーはないそうで、

どこの国のメーカーかを買う人が判断しないといけないですね。)

 

また、センチ規格であるはずのフランス(ヨーロッパサイズ)では、
2/3センチを1センチとして計算していきます
(ハーフサイズ表示を嫌うあたり、いかにもおフランスって感じがします)。

 

なお、ここには載せていませんが、

ドイツのメーカーはコンチネンタルサイズなんてものもをよく使います。

センチ規格でハーフサイズがあります。

 

同じアジアでいうと、韓国が日本とおなじようなcm規格です。
(でも、実寸を比べると1cm小さいという。。)

 

また、ほかに面白い例として、
古くからの靴の輸出国であるイタリアでは、
輸出先のサイズにあわせて表示を打つので規格がありません。

 

たかがサイズ表記ですが、そのお国柄が良くわかるいい例ですね。

 

購入時には是非こちらを参考にお求め下さい。

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