今回は、店長うさぎの餡が、こちらの投稿でお話ししていた内羽根式と、外羽根式とについてです。
さて、以下の2つの商品、違いが分かりますでしょうか。
紐の通し目に注目してください。
向かって左側の靴は、「外羽根式」と呼ばれるもので、甲より前の部分に、鳩目の部分が乗っかっているのが分かります。
対して、右側の靴は「内羽根式」と呼ばれるものです。
甲より前の部分に、鳩目の部分が潜り込んでいる状態の紐靴を、こう称します。
両者は、その見た目もさることながら、作られた背景(歴史)や目的が異なっています。
ここからは、それを説明しましょう。
まず、左側の靴、外羽根式についてです。
外羽根式は1810年、プロシャ軍のブリュッヘルが軍靴用に考えたといわれています。
履き口が外に開き、ヒモで締めるタイプです。「ブラッチャー」とも呼ばれ、特に英国ではダービー型と呼ばれています。
また、プロシアの陸軍元帥だったゲルハルト・レーバレヒト・フォン・ブラヘルが、
このスタイルで戦闘用ロングブーツを仕立てさせ、1815年にかの「ワーテルローの戦い」で、
フランスのナポレオンに立ち向かったというお話もあります。
羽根の部分が大きく開くため、着脱やフィット感の調節が容易という点が利点です。
元々はブーツに用いられていましたが、1860年ごろから短靴にも用いられるようになりました。
対して、右側、内羽根式はどうでしょうか。
内羽根式は、19世紀の中頃、英国のヴィクトリア女王の夫君、アルバート公がスコットランドの
バルモラル城でデザインしたことが名前の由来といわれており、ヒモで締めるドレッシーなタイプになっています。
アルバート公が好んで過したスコットランドの王室御用邸にちなんで、「バルモラル」あるいは
生まれた土地の名前「オックスフォード」ともいわれます。
羽根の部分が全開しないので、外羽根式に比べるとフィット感の調節や着脱のし易さには難がありますが、
見た目の清楚さから、フォーマルユースや室内執務用の靴として普及してゆきました。
日本では、あまり気にされていませんが、外回りの多い営業職の人は外羽根を、
内勤が多いマネジャーなどの管理職の人は威厳のある内羽根をのようにシーンで使い分けるのがベターです。
また、当店にて一度おしゃれだなあと思ったのは、スポーツ選手の方からご注文を頂いたときのことでした。
本来内羽根の靴の、外羽根式Verがどうしても欲しいと言われたので、
わけを伺ったところ、自分の活動性をアピールするために外羽根式を注文したいということでした。
スポーツ選手という自分を、靴を履くシーンに例えたわけです。
こういったこだわりを持って、靴を履かれる人は素敵だなあと思います。
靴を選ばれる際には、是非、自分の活動シーンを想像し、それにあった様式を選んでみてください。