ノーザンプトンが靴の聖地となった4つの要因
三大高級靴のひとつ、イギリス靴のなかでも聖地と言われる、ノーザンプトンシャー州都のノーザンプトン(Northampton)。
当店でも大人気のジョンロブ(本家)、エドワードグリーン、クロケット&ジョーンズを始めとする上質な靴が、この地から世界中へ送りだされています。
産業革命時代に靴産業で大いなる発展をした当地ですが、今回のうんちくでは「なぜノーザンプトンが聖地となったのか」その理由をご紹介いたします。
【1】樫の木
そもそも樫の木がなぜ靴作りに有用なのか、という点をご紹介。
A.革をなめすためのタンニンを豊富に蓄えている
B.木型(ラスト)作成に最適な硬い材木が採れる
という2点が挙げられる。
英国郊外ののどかな丘陵地帯ノーザンプトンは多種多様な動植物が繁栄しているが、樫の木もそのひとつ。
栽培するまでもなく、そこかしこに生えているほどで、材料には事欠かないのである。
【2】水
河川の付近では文明が発展すると、歴史が語っている原料である革を採るための牛を育てること、また革をなめす作業にも大量の水が必要となる。
ノーザンプトン郊外には無数の川が流れており、その良質な水が靴作りには大いに役立ったと思われる。
【3】地の利
英国の地図において、ノーザンプトンは南北に走る幹線道路のちょうど中間地点、都市で言えばケンブリッジ、オックスフォード、ロンドン、マンチェスターの中心にあたる。
現在でも物流の一大拠点となっているが、過去には上記の都市への食肉の供給地として牛の畜産が盛んに行われていた。
その歴史的背景から、革の材料となる牛も豊富に仕入れられる地となっている。
【4】タンナー
上述の諸条件から、革をなめすタンナーが発展し、まずは「革の街」として繁栄していった。
その後、当然の流れから良質な革を使った靴メーカーがこの地に集結することとなる。
【番外編】人
オリバー・クロムウェル
清教徒(ピューリタン)革命で有名なクロムウェルが、実はノーザンプトンの靴作りの発展に一役買っている。
自身の軍隊の機動力を強化するために、靴の改革に乗り出したのだ。
それまでサイズという概念がなく、単なる足を覆うためのものであった靴をサイズ別に作成。
さらに、革を積み重ねたヒールの概念も考案。
その結果、個々人の足にフィットした靴が作成され機動力の向上に成功し、革命軍の勝利に資することとなる。
これが現在我々の着用している靴の原型ともなった。
職人たち
物流が進化した今でもなおこの地が聖地でありつづけるのは、産業革命時代に培われた職人のDNAが今なお残っているからである。
我々の手元に届くその作品たちから、彼らの精神が伝わってくるだろう。
ということで、たびたび話題になるノーザンプトン、「聞いたことはあるけどなんで聖地なんだろう?」という疑問は解消されましたね!?
本格靴を愛するMaglayとしても、近々現地訪問レポートをお届けしたいと思いますので、お楽しみに!